次世代シークエンサーやDNAチップなどの計測技術を用いて得られた細胞内遺伝子発現量の多種類のデータ(遺伝子発現データ)から遺伝子間の統計的因果関係を推計するプログラムであるSiGN-BNの講習会と、SCLS計算機システムを用いた実習を開催しました。
相関関係を統計的因果関係の代替変数にみなすことが安易にされることもありますが、統計学的には相関と因果とは直接の関係はありません。SiGN-BNが採用しているベイジアンネットワーク・モデルは最も厳密に統計的因果関係を推計する方法で、計算結果は遺伝子間の有向グラフとして表示されます。
例えば「遺伝子A→遺伝子B」と表示されると、遺伝子Bは遺伝子Aによる制御を受けていると推測されます。あらかじめ、実験計画の段階から注目する遺伝子Bが存在する場合、遺伝子Bと有向グラフで結ばれる遺伝子群がベイジアンネットワークによって統計的因果関係のある遺伝子群として浮かび上がってきます。また、多くの遺伝子と統計的因果関係を持つ遺伝子はハブ遺伝子と言われ、研究対象である生命現象の鍵遺伝子であると推測されています。
遺伝子発現データは個人の細胞サンプルや遺伝子ノックダウン実験,薬剤投与による時系列データなどを用いることが可能です。時系列データに対しては動的(ダイナミック)ベイジアンネットワークを、ノックダウン実験などの静的なデータに対しては通常のベイジアンネットワークを用いて遺伝子ネットワークを推定します。
http://sign.hgc.jp/signbn/index.html
主催:理化学研究所 HPCI戦略プログラム分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤
共催:産業技術総合研究所 HPCI戦略プログラム分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤」 人材養成プログラム
公益財団法人都市活力研究所
特定非営利活動法人バイオグリッドセンター関西
後援:理化学研究所 情報基盤センター
バイオスーパーコンピューティング研究会